私は約2年前、フットサルの試合中のアキレス腱を断裂し、保存療法で治療をしました。
当然、手術で繋げるものだと思っていたし、そっちの方が確実だと思っていたので、先生から保存療法を提案された時は、耳を疑いました。
ケガをしたというショックと、休職することで職場に迷惑をかけたくないという焦りから、最初は何を無責任なことを言ってるんだ?うまくくっつかなかったらどうしてくれるんだ?私は一刻も早く職場に復帰しなくてはいけないんだ!と、動かない足をさすりながら先生を疑心の目で見ていました。
そんな耳を貸そうとしない私に、先生は手術のメリット・デメリット、保存療法のメリット・デメリットとだからあなたには保存療法を薦めるんだと丁寧に説明してくださいました。
今では、保存療法を選んで本当によかったと思ってますし、先生にとても感謝しています。
もちろん、私は手術でアキレス腱をくっつけた経験もありません。
主治医の先生の判断もありますし、怪我の程度やその人の置かれている社会的状況もありますので、かならず保存療法にしましょうと言うことではありません。
でも、私は何の情報と考えもなしに手術を選択せず、自分で納得して治療方法を選んで本当によかったと思っています。
治療方法
まず、最初にアキレス腱の断裂治療には大きく2種類存在します。
一般的な治療方法として古くからある手術と、私が自分のアキレス腱の治療で選択した保存療法です。
手術療法
手術には、その術式がいくつか方法があります。
今回は保存療法との比較ですので、手術というひとくくりでご説明します。
アキレス腱は足首を動かすための、ゴムのような役割を果たしている腱です。
腱というのは、ゴムのような役割を果たすのですが、ゴムのように伸縮性はありません。
そのため、大きなストレスがかかった際は、あっけなく断裂してしまいます。
手術とは切れた腱を外科的処置で繋ぎ合わせるものです。
数日入院すれば、今では数週間でリハビリが開始できるそうです。
しかし、手術には後遺症のリスクがつきものです。
傷口の痛みはもちろん、皮膚の癒着によるつっぱり、感染症などの後遺症が残る場合もあります。
保存療法
保存療とは、一般的に長期間ギブスで患部を固定することで、切れた腱が自然に再生してくっつくのを促す治療です。
ギプスで約8週間固定しその後、「足関節背屈制限装具」という装具で歩行ができるようになります。
くっついて硬くなってしまったアキレス腱に自分の体重をかけながら、伸ばしていくというリハビリ的側面もあります。
最近では保存療法を望む方も多くなっていると聞きます。
比較のポイント
下記のポイントで手術と保存療法を比べてみましょう。
- 治療期間
- リハビリ
- 痛み
- 後遺症
- お金
治療期間
まずは治療期間です。
自然にアキレス腱が再生するのを待つ保存療法に対して、切れた腱を縫い合わせる手術の方が治療期間は短いです。
完治までに2ヶ月ほどの差が出るものと思った方がいいでしょう。
どうしても、速く職場に復帰したいなど、治療方法選択の上で治療期間が最優先の方は、手術の方がいいでしょう。
しかし、完治まで6ヶ月と考えた場合、そこまで大きな差ではないと思います。
リハビリ
アキレス腱治療は長期間にわたるリハビリが必要となります。
再断裂のリスクを考慮して、手術療法も保存療法も1年ほどは無理な運動は控えた方がいいでしょう。
どちらの治療方法を選択したとしても、気長にこのケガと付き合っていく必要があります。
もし、お仕事で体を動かす必要があったり、運動をやっていて一刻も早く完治しなければいけないなどの事情がない限り、長い時間をかけてゆっくり筋力を戻すほうが、長期的に見た場合後遺症などの心配もありません。
痛み
痛みは当然、患部を切るのですから、麻酔が切れた後など手術の方が痛みがあります。
私は手術経験がないので、「手術」という言葉自体にビビってしまいました。
これは人それぞれとは聞きますが、私自身、アキレス腱が断裂しても、無理の歩いたり患部を触ったりしない限り、それほど痛くありませんでした。
そのため、保存治療を選択した私は、アキレス腱治療において痛みで苦しんだということはありません。
後遺症
後遺症は手術の方がリスクが大きいです。
考えられる手術の後遺症リスクは下記のようなものが挙げられます。
- 傷痕が残る
- 傷口の痛み
- 皮膚の癒着によるつっぱり
- 傷口からの感染症
- 再断裂リスク
それに対し、保存治療の後遺症リスクは再断裂の危険のみと言ってよいでしょう。
再断裂を防止するには、治りかけで無理をしないことと、装具が外れたあともでサポーターを使用するなどのケアで再断裂リスクを下げることができます。
お金
治療費は保存療法のほうが安価に抑えられます。
- 理由としては下記です。
- 手術費用が必要ない
- 入院の必要がない
- 装具、松葉杖代は手術をしても必要になる
保存療法で主に必要になるのはギブス、装具、松葉杖代、通院費、リハビリ代です。
手術はさらにこれらに加えて手術費用、入院費用が上乗せになります。
保険などの給付により、手術や入院をした方が保険会社からお金がもらえるといった場合以外は保存療法の方がいいでしょう。
手術を選択した方がいい場合
アキレス腱断裂の治療法ですべての場合、保存療法がいいと言っているわけではありません。
もちろん手術をしたほうがいい場合もあります。
- 事故などで外傷がある場合
- 断裂と一緒に骨折もしている場合
最終的には主治医と相談して決めることが大切です。
まとめ
アキレス腱の治療方法には、「手術」と「保存療法」の二つがあります。それぞれメリット、デメリットがありますから、怪我をしてすぐ治療法を選択するなんてむずかしいですよね。しかし、それでも私は実際に保存療法で治療してみて、本当に保存療法でよかったと思っています。治療期間は手術より長くなりますが、金銭面を安く済ますことができ、手術の痛みがありません。そしてなにより、アキレス腱治療で一番怖い後遺症のリスクが保存療法の方がダントツに低い点が保存療法のメリットです。治療から一年が経ちますが、後遺症もなく無事に過ごせているのは、主治医の先生のおかげです。これから、アキレス腱治療をする方は、ぜひ保存療法を検討してみてください。